教育資金と新NISA — ジュニアNISA終了後の積立戦略
子どもの教育資金は、子育て世帯にとって大きなお金の課題です。
2023年でジュニアNISAの新規投資は終了しました。そのため、現時点では、親のNISA枠、預貯金、児童手当、学資保険などを組み合わせて教育資金を準備する方法を考える必要があります。
また、令和8年度税制改正の大綱・関連資料では、2027年1月以降、0〜17歳にもNISAのつみたて投資枠を広げる内容が示されています。今後は、親のNISAだけでなく、子ども名義のNISAも選択肢になる可能性があります。
ただし、制度の詳細、金融機関での対応、対象商品、払出し条件、手続き方法などは、今後の公式情報で確認が必要です。利用を検討する場合は、必ず最新の公式情報をご確認ください。
この記事では、教育資金の積立戦略を整理します。
教育資金はいくら必要か
教育資金は大学まで進むと、公立か私立か、自宅か自宅外かによって、800万円から数千万円かかると言われています。進学先や通学形態で大きく変わるため、細かい金額は進路が見えてこないとわかりません。しかし、急に用意できるわけではないので、あらかじめ高額になることを前提に用意しておく必要があります。
教育資金は「大学入学時にまとまって必要になるお金」と「幼稚園から高校まで毎年かかるお金」に分けて考え、大学入学前後にまとまって必要になるお金は預貯金で確保しておくと安心です。
ジュニアNISA終了後の選択肢
ジュニアNISAは2023年で制度が終了し、2024年以降は新規投資ができなくなりました。すでにジュニアNISAで保有している商品は、一定の条件のもとで非課税保有や払出しが可能ですが、これから新しくジュニアNISAで教育資金を積み立てることはできません。
現在、教育資金を準備する主な選択肢は次のとおりです。
- 親のNISA枠で運用する
- 預貯金で確実に準備する
- 児童手当を教育資金として貯める
- 学資保険を使う
- 2027年1月以降、制度が利用可能になれば子ども名義のNISAも検討する
現行のNISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計で年間360万円まで投資できます。非課税保有限度額は総枠1,800万円で、成長投資枠はそのうち1,200万円までです。NISA口座内の商品を売却した場合、売却した商品の簿価分は翌年以降に非課税保有限度額として再利用できます。
親のNISAは、教育資金準備にも使いやすい制度です。親名義の口座で運用するため、教育費として使わなかった場合は、そのまま親の老後資金として運用を続けることもできます。
一方で、親のNISAはあくまで親名義の資産です。教育資金と老後資金が混ざりやすいため、「どの部分を教育資金として使うのか」を家計内で分けて管理しておくことが大切です。
2027年1月以降の未成年向けNISA拡充について
令和8年度税制改正の大綱・関連資料では、2027年1月以降、NISAのつみたて投資枠の対象年齢を0〜17歳にも広げる内容が示されています。
示されている主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 0〜17歳向けのつみたて投資枠の内容 |
|---|---|
| 対象年齢 | 0〜17歳 |
| 年間投資枠 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託など |
| 払出し | 原則として制限あり。12歳以降は、教育費・生活費等に用いる場合など、一定の要件と子の同意を満たす場合に払出し可能とされている |
| 18歳以降 | 18歳以上向けのNISAへ移行する方向 |
この制度が実際に利用できるようになれば、子ども名義で教育資金を準備する選択肢が広がります。
ただし、制度開始前の段階では、実際の口座開設手続き、対象商品、払出しの細かい条件、親権者の管理方法、金融機関ごとの対応などは確認が必要です。施行が近づいたタイミングで、金融庁・財務省・各金融機関の最新情報を確認してください。
新NISAで教育資金を作る場合のリスク
NISAで教育資金を準備する場合、注意したいのは「使う時期がほぼ決まっている」という点です。
老後資金であれば、取り崩し時期をある程度ずらしたり、運用を続けながら少しずつ取り崩したりできます。一方で、教育資金は、大学入学金・授業料・下宿費用など、必要になる時期がかなりはっきりしています。
たとえば、子どもが大学に入る直前に大きな株価下落が起きると、必要なタイミングで十分な金額を引き出せない可能性があります。これは教育資金特有のリスクです。
対策としては、次のような方法があります。
- 使う時期の3〜5年前から、徐々に現金比率を上げる
- 大学入学金や初年度納付金など、時期が決まっているお金は預貯金で確保する
- 教育資金の一部だけをNISAで運用し、全額をリスク資産にしない
- 複数の子どもがいる場合は、最年長の子の進学時期に合わせて段階的に現金化する
- 大きな下落時に慌てて売らないよう、あらかじめ取り崩しルールを決めておく
教育資金は「増やすこと」だけでなく、「必要な時期に使える状態にしておくこと」が重要です。
児童手当との組み合わせ
児童手当は、2024年10月分から制度が拡充されました。主な変更点は、所得制限の撤廃、支給対象の高校生年代までの延長、第3子以降の支給額増額、支給回数の年6回化です。
主な支給額は次のとおりです。
| 区分 | 支給額 |
|---|---|
| 第1子・第2子:3歳未満 | 月15,000円 |
| 第1子・第2子:3歳〜高校生年代 | 月10,000円 |
| 第3子以降 | 月30,000円 |
| 支給回数 | 偶数月の年6回 |
第3子以降の数え方では、親等に経済的負担がある場合、22歳年度末までの上の子もカウント対象になります。実際の受給条件や申請の要否は、住んでいる自治体の案内を確認してください。
児童手当をそのまま貯めていくと、第1子・第2子では18歳までの累計で約230万円前後になります。これは大学費用のすべてをまかなえる金額ではありませんが、入学金・初年度納付金・受験費用などに備える大きな土台になります。
現実的には、児童手当は預貯金などで確実に確保し、それとは別に家計から出せる範囲でNISA積立を行う、という組み合わせが考えやすくなります。
積立プランの例
たとえば、子どもが0歳のときから、大学費用として18年後に500万円前後を準備したい場合を考えます。
以下は、年5%で毎月末に積み立てた場合の概算です。実際の運用成果を保証するものではありません。
| 方法 | 月額 | 18年後の評価額の目安 |
|---|---|---|
| 児童手当を預貯金で確保 | 児童手当のみ | 約230万円 |
| NISAで月1万円積立 + 児童手当を預貯金 | 月1万円 + 児童手当 | NISA部分 約350万円 + 児童手当 約230万円 = 約580万円 |
| NISAで月2万円積立 + 児童手当を預貯金 | 月2万円 + 児童手当 | NISA部分 約700万円 + 児童手当 約230万円 = 約930万円 |
※ 年5%・毎月末積立の概算です。実際の運用成果を保証するものではありません。市場環境、為替、税制、手数料、運用期間、売却時期によって結果は大きく変わります。
教育資金では、「全部を投資に回す」よりも、「確実に必要になる部分は現金で確保し、余裕部分を長期運用する」という考え方が現実的です。
特に、大学入学の数年前からは、NISAで運用している分を少しずつ現金化するか、リスクの低い資産に移すことも検討したいところです。
贈与税・名義の注意点
親のNISAで運用した資金を教育費に使う場合、名義と贈与税の扱いにも注意が必要です。
親が自分のNISA口座で運用し、必要なタイミングで子どもの学費・教材費・通学費などを負担する場合、通常必要と認められる教育費であれば、一般的には贈与税の対象外とされます。
一方で、まとまった資金を子どもの口座に移したり、子どもの投資資金として渡したりする場合は、贈与税が問題になる可能性があります。教育費という名目であっても、実際には預金や株式・投資信託の購入資金として使われる場合には、贈与税の対象になり得ます。
また、祖父母などから教育資金をまとめて贈与する制度として「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」がありましたが、この制度は2026年3月31日で終了しています。2026年4月1日以後は、新たにこの特例の適用を受けることはできません。ただし、2026年3月31日までにこの特例の適用を受けた信託受益権や金銭等については、引き続き制度の対象となる場合があります。
教育資金を祖父母から援助してもらう場合や、大きな金額を子ども名義に移す場合は、国税庁の最新情報をご確認ください。
親の老後資金とのバランス
教育資金を頑張りすぎると、親の老後資金が手薄になるリスクがあります。
教育資金は10〜20年後に必要になるお金、老後資金はさらに先の生活を支えるお金です。どちらも大切ですが、教育資金を優先しすぎて親の老後資金が不足すると、将来的に家計全体が苦しくなる可能性があります。
優先順位の目安は次のとおりです。
- 生活防衛資金を確保する
- 近い時期に使う教育費は預貯金で確保する
- 児童手当を教育資金の現金部分として貯める
- 家計に余裕があれば、NISAで長期積立を行う
- 老後資金としてiDeCoやNISAを検討する
- さらに余力があれば、NISAの成長投資枠などを活用する
iDeCoは老後資金づくりには有力な制度ですが、原則として60歳まで引き出せません。そのため、大学費用などの教育資金には向きません。
NISAは売却して現金化しやすいため、教育資金と老後資金の両方に使いやすい一方、使いすぎると老後資金が減ってしまいます。教育資金用、老後資金用と、目的別に金額を分けて管理することが大切です。
学資保険は選択肢としてどうか
学資保険は、教育資金を計画的に準備するための保険商品です。商品によっては、契約者である親に万が一のことがあった場合に、その後の保険料払込が免除され、満期金や学資金を受け取れる保障が付いています。
メリットは、強制的に貯めやすいこと、満期時期を大学入学前などに合わせやすいこと、保障機能があることです。
一方で、低金利環境では返戻率が高くない商品もあり、途中解約すると元本割れすることがあります。また、NISAのように大きな運用益を狙う商品ではありません。
すでに学資保険を契約している場合、無理に解約する必要はありません。解約返戻金が払込保険料を下回ることも多いため、契約内容、返戻率、満期時期、保障内容を確認したうえで判断してください。
これから教育資金の準備を始める場合は、学資保険、預貯金、NISA、死亡保障のための掛け捨て保険などを比較し、家庭に合う組み合わせを考えるのがよいでしょう。
まとめ
ジュニアNISAが終了した今、教育資金は、親のNISA、預貯金、児童手当、学資保険などを組み合わせて準備するのが現実的です。
現行NISAは、親名義で柔軟に使える制度です。教育資金として使わなかった分を老後資金に回せる一方、教育資金と老後資金が混ざりやすい点には注意が必要です。
また、令和8年度税制改正の大綱・関連資料では、2027年1月以降に0〜17歳向けのつみたて投資枠を設ける内容が示されています。制度が始まれば、子ども名義のNISAも教育資金準備の選択肢になる可能性があります。ただし、実際の開始時期、対象商品、払出し条件、金融機関の対応などは、最新の公式情報を確認してください。
教育資金は、使う時期がほぼ決まっています。すべてを投資に回すのではなく、大学入学前後に必要になるお金は預貯金などで確保し、長期で使える余裕資金をNISAで運用する、という考え方が取り入れやすいでしょう。
過去の運用実績やシミュレーション結果は、将来の成果を保証するものではありません。投資判断は、家計状況、教育方針、リスク許容度を踏まえて、ご自身で判断してください。
※ 教育費は、進学先・地域・通学形態・生活水準によって大きく変わります。実際の必要額や最新の制度・補助金は、文部科学省、こども家庭庁、自治体、各学校の公式情報でご確認ください。
よくある質問
- Q1. ジュニアNISAは今も使えますか?
- ジュニアNISAは2023年で制度が終了し、2024年以降は新規投資ができなくなりました。すでにジュニアNISAで保有している商品は、一定の条件のもとで非課税保有や払出しが可能ですが、これから新しくジュニアNISAで教育資金を積み立てることはできません。
- Q2. ジュニアNISA終了後、教育資金を準備する選択肢は何がありますか?
- 現在は次の選択肢があります。①親のNISA枠で運用する、②預貯金で確実に準備する、③児童手当を教育資金として貯める、④学資保険を使う、⑤2027年1月以降、制度が利用可能になれば子ども名義のNISAも検討する。それぞれを組み合わせて、家庭に合う配分を考えるのが現実的です。
- Q3. 2027年1月以降に0〜17歳向けのNISAができると聞きましたが、内容はどうなりますか?
- 令和8年度税制改正の大綱・関連資料では、2027年1月以降、NISAのつみたて投資枠を0〜17歳に広げる内容が示されています。年間投資枠60万円・非課税保有限度額600万円、対象商品は長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託など、払出しは原則として制限あり(12歳以降は教育費・生活費等に用いる場合など、一定の要件と子の同意を満たす場合に払出し可能とされている)、18歳以降は18歳以上向けのNISAへ移行する方向です。実際の開始時期や金融機関の対応は、最新の公式情報で確認が必要です。
- Q4. 2024年10月以降の児童手当の累計はいくらになりますか?
- 2024年10月分から制度が拡充され、所得制限が撤廃され、支給対象が高校生年代まで延長されました。主な支給額は、第1子・第2子の3歳未満が月15,000円、3歳〜高校生年代が月10,000円、第3子以降が月30,000円、支給回数は偶数月の年6回です。第1子・第2子では18歳までの累計で約230万円前後になります。
- Q5. 教育資金を新NISAで準備する場合のリスクは何ですか?
- 教育資金は使う時期がほぼ決まっている点が特徴で、大学入学直前に大きな株価下落が起きると、必要なタイミングで十分な金額を引き出せない可能性があります。対策としては、使う時期の3〜5年前から徐々に現金比率を上げる、大学入学金や初年度納付金など時期が決まっているお金は預貯金で確保する、教育資金の一部だけをNISAで運用し全額をリスク資産にしない、などの方法があります。
- Q6. 祖父母から教育資金をまとめて贈与してもらう非課税制度はまだ使えますか?
- 「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は、2026年3月31日で終了しています。2026年4月1日以後は、新たにこの特例の適用を受けることはできません。ただし、2026年3月31日までにこの特例の適用を受けた信託受益権や金銭等については、引き続き制度の対象となる場合があります。詳細は国税庁の最新情報をご確認ください。
- Q7. 学資保険は今からでも入る価値がありますか?
- 学資保険のメリットは、強制的に貯めやすいこと、満期時期を大学入学前などに合わせやすいこと、契約者である親に万が一のことがあった場合の保険料払込免除などの保障機能があることです。一方で、低金利環境では返戻率が高くない商品もあり、途中解約すると元本割れすることがあります。これから準備を始める場合は、学資保険・預貯金・NISA・死亡保障のための掛け捨て保険などを比較し、家庭に合う組み合わせを考えるのがひとつの目安です。
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