なぜ投資が必要なのか — 貯金だけでは増えにくい時代の考え方
「投資はこわい」「貯金していれば十分」と感じる人は少なくありません。
実際、投資には値動きがあり、元本が保証されているわけではありません。それでも、低金利やインフレが続くなかで、「貯金だけ」では資産の価値は保ちにくいです。
この記事では、そもそもなぜ投資という選択肢が話題になるのかを整理します。自分にとって投資が必要かどうかを判断する材料として読んでみてください。
銀行に置くだけ、では増えにくい
かつては、お金を定期預金に預けておけば、それなりの利息がついた時代もありました。
しかし現在の預金金利は、ネット銀行でも年0.1〜0.2%程度のことが多く、メガバンクの普通預金はさらに低い水準です。
たとえば年0.1%の金利では、100万円を1年預けても、増えるのは税引前で1,000円ほどです。「預けておけば自然に増える」と感じられるほどの利息は、今のところ期待しにくいのが実情です。
インフレで「現金の価値」は少しずつ目減りする
もう一つ見落とされがちなのが、物価の上昇(インフレ)です。
モノやサービスの値段が上がると、同じ金額で買えるものは少なくなります。つまり、現金をそのまま持っているだけでも、「お金の価値」は実質的に目減りしていきます。
日本銀行は、物価が年2%ずつ上がることを目標にしています。仮に物価が年2%で上がり続けると、いま100円で買えるものは、10年後にはおよそ121円出さないと買えなくなる計算です。言いかえれば、毎年2%ずつ給料が増えていかないと、物価の上昇に追いつけません。
預金金利が物価の上昇に追いつかない状況では、「減らしていないつもり」でも、買える量は静かに減っているわけです。
投資が話題になる背景には、この「現金のままでは価値が目減りしうる」という事情があります。
公的年金や給料だけでは、心もとない
公的年金は老後の大切な土台ですが、それだけでゆとりある暮らしはまかなえず、自分でも老後資金を準備しておく必要があります。
また、収入が給料だけだと、病気やケガ、転職、勤め先の変化があったときに家計が揺れやすくなります。働ける期間にも限りがあります。働いているうちに、給料以外の「お金が育つ場所」を少しでも作っておくと、いざというときの選択肢を広げやすくなります。
大きな支出は、時間をかけて備えられる
教育費・住宅費・老後資金といった大きな支出を、毎月の貯金だけで準備しようとすると大変です。一方で、当面使う予定のないお金なら、投資を使って長い時間をかけて育てるという選択肢があります。
時間を長く取れるほど効いてくるのが複利です。複利とは、増えた利益にもさらに利益がついていく仕組みのことで、10年・20年と続けるほど差が広がっていきます(詳しくは「複利の力:10年・20年・30年でどれだけ差がつくか」で試算しています)。投資が「若いうちから」と語られやすいのも、利回りそのものより、時間を長く取れることのほうが効きやすいためです。
新NISAなど、使える制度がある
投資の利益にはおよそ2割の税金がかかりますが、新NISAでは、元本1,800万円までなら運用益が非課税になります。こうした制度を使わないままにするのはもったいないです。
それでも投資は「元本保証ではない」
ここまで投資が選択肢になる理由を整理してきましたが、忘れてはいけない前提があります。投資に元本保証はありません。相場が下がる局面では、一時的に投資額を下回ることもあります。
しかし、ここで前提にしているのは長期投資です。過去の実績では、長く続けるほど上昇する傾向にあります。「投資=一発当てる」ではなく、その逆です。「長期・積立・分散」をすることで、値動きの振れ幅を抑え、時間をかけて少しずつお金を育てていくイメージです。
投資はあくまで、「当面使う予定のない余裕資金を、長い時間をかけて育てる」ための選択肢です。短期間で増やすものではありません。具体的な方法は「インデックス投資の基本」や「投資信託とは何か」で説明しています。
始める前に — 生活防衛資金を先に確保
投資を考えるうえで、順番として先に来るのが生活防衛資金です。
病気やケガ、急な出費、収入が減ったときなどに備えて、生活費の1年分くらいを、すぐ引き出せる預金で確保しておくと安心です。この土台があると、慌てて投資をやめて現金化せずに済みます。
「投資を始めること」より、「途中でやめずに続けられる状態を作ること」のほうが先です。詳しくは「生活防衛資金の作り方」を参考にしてください。
まとめ
なぜ投資が必要なのか、を整理すると次のようになります。
- 預金金利は低く、預けておくだけでは増えにくい
- インフレが続くと、現金のままでも実質的な価値が目減りしうる
- 公的年金や給料だけに頼りにくく、自分でも備えておく必要が出てきている
- 教育・住宅・老後といった大きな支出に備えて、時間をかけて育てる
- 新NISAなど、利益が非課税になる制度も後押しになっている
次は、自分が何のために投資するのかを整理する「投資の目的を最初に決める」へ進むと、具体的な一歩につなげやすくなります。
最新の制度や数字(預金金利を含む)は変わることがあるため、実際に始める際は各社・各機関の公式サイトで確認してください。